個人研究
図画工作科:
横山 拓貴

図工の横山拓貴(よこやまひろき)です。
附属新潟小3年目の今年度は,低学年の複式学級を担任します。
図画工作科で育まれる創造性は,将来の予測が困難な社会で生きる子どもたちが未来を切り拓く要です。
みたい!かきたい!つくりたい!子どもたちが夢中になる授業を目指します。
身の回りの物と関わり,友達と関わり,自分らしい表現を見つけていく子供たちをサポートしていきます。
お気軽に,ご意見,ご感想をお寄せください。
メールでのお問い合わせはコチラ→ yokoyama@fusho.ngt.niigata-u.ac.jp
初等研Winter「スライムで広がる!キラりんのクリスタルワールド」
2023.01.27本実践「スライムで広がる!キラりんのクリスタルワールド」という題材名は,4月に子供たちが決めた「クリスタルフラワーやさしく明るい笑顔の低3」という合言葉に由来します。

本学級は,1・2年生の複式学級です。
これまでにも「図工ラボ」と称して,玄関に養生テープを貼ったり,塩ビパイプで噴水をつくったり,絵の具で窓に絵を描いたり,大量の粘土で遊んだりするなどの造形活動を行ってきました。

第1時となる前時では,まずスライムのキラりんをつくろうと提案し,スライムのつくりかたを説明しました。


そして,目玉シールを入れて命を吹き込み,自分のつくったスライムに名前を付けました。
自分の作品への愛着やイメージをもち,自分の表現に意味を見いだします。


2時間目となる本時では,素材と他者と自分と対話し,「素材のもつ造形的な面白さへの気付きを広げ,楽しい造形活動を創造する子供」を目指しました。
動画の最後まで子供たちは素材を楽しみ続けます。どうぞご覧ください。

2月4日(土)の協議会③(15:00~16:20)にもご参加ください。
共に楽しむアート空間
2022.12.08初等教育研究会Autumnでは,豊富な陶芸用粘土を提示し,子供たちは,全身で素材を楽しみました。様々な道具を使い,粘土という素材の魅力を味わっていました。友達と一緒に粘土に乗ったり,棒を使って元気いっぱい叩いたり,色々な跡を付けてみたりと,粘土の楽しみ方は様々です。共に楽しむアート空間で,何かをつくっていくという行為自体に学びとしての価値があると感じています。




その後,附属新潟小の作品展「附属アートミュージアム」では,個人作品の展示と共に,全校縦割り班活動で「花いっぱいプロジェクト」の展示をしました。吹き抜けのある多目的ホールには,画用紙でつくった花を吊しました。さらに,学校中の廊下の窓にキットパスを使って思い思いに花を描きました。学校中が花いっぱいのアート空間になりました。




素材の魅力を…
2022.08.27養生テープを使って,様々な活動を行いました。
テープでつくるマイキャラ「グリグリくん」
グリグリくんが住んでいる「ペタペタランド」
テープとパイプとホースでつくる「ウォーターパーク」
子供は,他者と共に素材と向き合い,自らの表現行為を通してその魅力を感じていきます。
そして,次もまた,思いを込めた作品に,その素材を使いたくなるのです。

図工の指導で大切なこと「ふしぎなたまご」
2022.05.14
低学年の題材「ふしぎなたまご」を実践しました。
どんなたまごがあったらおもしろいかなあ?なにがでてくるかな?子供たちは,一人一人が想像を膨らませ,楽しく造形活動に取り組むことができました。

ところで,図工の指導をするとき,どんなことを大切にしていったらいいのでしょうか。
図工の目標は,上手につくることではありません。
自分なりの意味や価値をつくることです。一人一人の子供が形や色のよさといった造形的な面白さに気付き,広げていくことが大切です。
「図工はとても楽しいけれど,もしかしたら一番大変な教科かもしれません。それは,答えがない問題の答えをつくっていく勉強だからです。」
「上手な絵を描くことが目的ではないから,自由につくっていいんだよ。自分だけのものをつくりだしていこうね」
図工を担当するクラスの子供たちには,早い段階で伝えています。
そして,この大切さは1年生でも分かってくれます。
図工の指導をするときには,繰り返し伝え,上手にリアルに描くのがいいことなんだという潜在的な考えを打ち破っていきたいものです。
心掛けていることは,どんなに上手でも「上手だね」と言わないことです。
言ってしまうと,「先生は上手な子を褒めた=上手な絵が求められている」という思考になるからです。
具体的に子供の行為を褒めていこうと考えて指導しています。
「もしもえほん」その2 協議会を終えて…
2022.02.06協議会にご参加いただいた皆様ありがとうございました。
協議会では,以下のような改善点について説明させていただきました。



本時(第3時)での働き掛けは以下のようなものでした。

働き掛け3では,子供は,自分の選んだテーマについて,ペアの子供と対話しました。お互いの「もしも○○だったら」について,どうなったら面白いか,様々なアイデアを出し合いました。
働き掛け4では,全体で共有します。そして,働き掛け5から,製作を始めます。友達と話しながら広げたイメージを表したり,新たに思い付いたことを話しながら作品をつくっていきました。
本時以降,動画を撮影し,自分のストーリーを語ります。


協議会では,図工の本質に関わるご指摘をたくさんいただきました。
自ら課題を設定し,対話を通してイメージを広げて表現には向かっていたものの,その対話の場面は,教師から与えられたものではなかったか。
図工における対話はどうあるべきか。
子供が対話する場面はどこか。対話の対象は何か。何を通して対話するのか。
対話についてだけでも,今後も考えていかなければならないことが山積みです。
さらに,材料や製作の過程,働き掛けとして指導案には書き表せない部分での教師の声かけなど,図工の授業として大切な部分についても協議することができ,多くの課題が見える時間になりました。
よりよい授業を目指して,さらに研究を進めていきたいと思います。ありがとうございました。
「もしもえほん」初等研Winter授業解説その1
2022.01.29授業動画の公開が始まりました。
初等研Winterの改善点を説明します。


主な改善点は上記の2つです。
今回は【1.ストーリーについて】の解説です。

まず,第1時では,題材の導入として2冊の本を読み聞かせ,自分の「えほんのこども」をつくりました。

第2時では,参考作品を提示し,子供を題材の世界へとさらに引き込んでいきます。
【改善点1】 ストーリーについて
子供が思考するとき,何らかの条件が必要です。子供は,その条件に対して「どうしよう」と徐々に焦点化して考えていきます。
Autumnの実践では,「ガッチャンコマシーンでふしぎなのりものをつくろう」という共通の課題のもと,生き物と教室の中の物を足して,不思議な乗り物をつくるという条件を提示していました。
子供が考えることは,①生き物を何にするか,②教室の中の物を何にするか,そして③どのように組み合わせるかとなります。さらに,④どんな特徴があるか,⑤どんな旅になるのかなどのストーリーが加わっていくという仕組みでした。
今回のWinterの実践では,参考作品を提示し子供と一緒に「えほんのこどもがはなす,ありえない「もしも」のはなしをつくろう」という共通の課題を設定しました。
まずは,「もしも○○だったら」という○○に当てはまることから考えます。この「もしも○○だったら」というテーマがそのまま考える条件となります。
そして,○○だったら「どうなるんだろう」と,自分で設定したことに対してさらに考えるというのが焦点化した課題になります。
Winterの課題はシンプルですが,教師から与えられた条件ではなく,自ら課題を設定し,自らその課題を追究していく姿を求めました。
子供が,自らの課題を追究し,どのようなストーリーをつくりだすのか,ぜひ,授業動画をご覧ください。
指導案はコチラから → Winter指導案(横山).pdf (fuzoku-niigata.jp)
【お申込みはコチラから】附属新潟小学校初等教育研究会 | 新潟大学附属新潟小学校初等教育研究会 (fuzoku-niigata.jp)
協議会を通して…
2022.01.23初等教育研究会Autumnにご参加いただいた皆様,ありがとうございました。協議会を通して見えてきたことをまとめました。


Autumnの授業では,グループで生き生きと対話しイメージをつくりだしていく姿,個人製作の場で次々に組合せを考えて新しい乗り物をつくりだしていく姿が見られました。
しかし,組み合わせることの価値を見いだし,その乗り物でどんな旅ができるのか,一人一人のイメージをより深く紡ぎ合ったり,よりよいものへと改善したりするような対話をする姿までは至りませんでした。
そこで,Autumnの授業で見られた成果と課題からWinterの授業を再検討し,実践しました。
どのように改善したのか,どのような授業になったのかは,また後日お知らせいたします。
もうすぐ指導案と授業動画を公開いたします。是非ご覧ください。そして,協議会で忌憚のないご意見をお寄せください。
ふしぎりょこうき―きみならなににのっていく?―(のってみたいないきたいな)お知らせ②
2021.11.16授業動画公開に合わせ,今回の実践について簡単に紹介させていただきます。

「想像したことを基に表したいことを見付ける」という中核的な内容を目指し,「自他の表現したことを基に対話し,表したいイメージを更新して表現しようとする子供」を目指しました。
図工の力を発揮する対話には,自分との対話や物との対話などがありますが,視野を広げたり視座を高めたりするためには,他者との対話が必要です。表現と鑑賞とを往還する中で生まれる他者との対話を通して変える力を高めます。これは学びに向かう力と関連します。

昨年の実践でも表現と鑑賞との往還をキーワードに表現場面での対話を目指しました。しかし,教師が手立てを講じても子供に必要感がなければ対話は生まれません。生まれても偶然性の枠を超えません。
では,対話している子供は何を語っているのでしょうか。
対話している子供の話に耳を傾けると,「表したいことに共通性がある」ということと「それぞれのストーリー」を語っているということが分かりました。ここで言うストーリーとは,作品についての子供の文脈,想像した物語,読んだことのある絵本の世界など,一人一人の経験に基づくものです。

そこで,題材にストーリー性をもたせることで,子供が語るストーリーに共通性をもたせることをねらいました。ストーリーには問いを生み出す条件を入れておくことで,課題が焦点化していくと考えました。その上で,表したいことに共通性のある友達と一緒に製作する場を設定しました。

不思議な旅行に出かける自分の分身「ぶんちゃん」の乗り物を「ガッチャンコマシーン」でつくるというストーリーから共通の課題を設定します。そして,教室の中の物と生き物を合体させるという条件から課題を焦点化します。まずは「ゾウ+ピアノ=?」をグループで考えます。これが「協働的に表現する試しの場」です。

その後,「空」「地上」「水中」の3種類の生き物から表したい物を選びます。これにより表したいものに共通性をもたせます。
そして,同じ物を選んだ友達と一緒に,個々の製作に取り掛かります。

授業動画では,前時の様子やその後完成するまでの様子もダイジェストでお送りします。本時はノーカットとなっています。子供たちの対話やつぶやき,楽しく製作する様子を,ぜひ,ご覧ください。
協議会は,11月25日(木)18:00からです。Zoomに事前登録の上ご参加ください。お待ちしております。
↓↓お申込みがまだの方はコチラからお申込みください。↓↓
イベント詳細 | 初等教育研究会Autumn&Winter (eventpay.jp)
研究計画の働き掛けを改善しました。指導案と合わせてご覧ください。
↓研究会特設ページもご覧ください!!
ふしぎりょこうき~きみならなににのっていく?~(のってみたいないきたいな)
2021.10.23初等教育研究会Autumnの授業動画の撮影が終わりました。

不思議な旅行に出かけよう!
前時は,分身の「ぶんちゃん」がキーワード!
本時は,「ガッチャンコマシーン」がキーワードです!
不思議な乗り物を次々に生み出す,素敵な子供たちの様子をご覧ください!
ビリリがへんしん!「やぶいたかたちからうまれたよ」
2021.08.23今年度の研究のスタートとなる研究計画と指定研究授業の指導案を公開します。 教科書題材「やぶいたかたちからうまれたよ」の実践です。本時では,自他の破いた紙の形を基に想像したことを対話し,表したいイメージを更新して表現する子供を目指しました。


タブレット端末を使うことで試行錯誤しながら表現しやすくしたり,気軽に鑑賞しながら対話を促進することができます。子供たちが互いの表現を見て影響を与え合えるような環境を整えることも,子供が対話を通してつくりかえていくことに有効に働きます。しかし・・・

場の設定で生まれる対話は偶然生まれるものです。また,それは「見て見て!」や「いいね!」など,一方的であることが多いと感じていました。授業を後で振り返ってすてきな姿があったということを価値付けることができるのですが,偶然を待っているだけの授業でよいのかという疑問をもってしまいます。
実際子供同士が対話している内容に注目してみると「イメージ」「技」「自分の製作の文脈」など様々です。一つのものを見つめさせたり,共通の目的をもたせることが重要です。共同製作であれば,みんなで一つのものをつくるので,対話は生まれやすいと思います。しかし,図工の題材の多くは個人での製作です。そんな個々の表現をする題材であっても,一人の世界に没頭するだけではなく,他者と関わり合い,新たに知を更新していく子供を目指したいと考えました。

子供の語り合う内容に題材のストーリーを絡ませることによって,一定の共通性をもたせることができると考えました。また,技能面での困り感を解消することではなく,題材のストーリー上の問題点を解消することを課題とすることで,どんな子供も楽しく参加できる題材になるようにしました。
わたしの「ビリリ」を何に変身させようかという共通の目的に向かって,破いた紙を見合ったり,タブレットに書き込んだりしながら対話する。そんな授業の構想でした。
「改善点」
「ようせいのもと」を破って「ビリリ」をつくることは,偶然生まれた形を何かに見立てるという造形活動です。ストーリーの演出によって子供たちの意欲が高まったところに,行き先にあったものに変身するという条件を追加することで子供は自分の「ビリリ」を見つめ直します。発想を転換させるまではよかったのですがさらに出した追加条件がよくなかったのです。もっと困らせてやろうという教師の意図が強すぎた上に,子供たちが見つめるものが,自分のビリリから回りの切れ端になってしまったのです。軌道修正をかけることになってしまいました。ストーリーの要件を整理していくことが今後の課題です。
