探究の質を高める2つの問いかけ

2021.08.30

総合学習の特徴の一つとして,大単元の設計があります。

単元設計のポイントはいくつかありますが,

子供の探究活動の質を高めるためには,

評価のあり方を重視する必要があります。

「評価」と聞くと教師による評価をイメージされる方が多いと思いますが,

私は子供自身による評価を意識しています。

子供自身の評価を意識する理由は,

子供が目標の達成状況を把握したり,

新たな課題を見いだしたりすることが,

探究活動の質を高めると考えるからです。

評価をするためには,何をもって評価するのかという基準が必要です。

それは事前に用意するのではなく,子供の話合いでつくっていきます。

ここが教科書がない総合学習らしい学び方かもしれません。

ここからは6年生の具体的な実践で述べていきます。            

6年生はコロナ禍における食をテーマに学習を行っています。

外食について街頭調査を行うと,

多くのまちの人が外食が減ったことによって

「食べる楽しさを感じていない」ことが分かりました。

この実態を受けて子供は,下記のような目標を設定し,

目標を達成するために弁当の開発と販売に取り組むことにしました。


生産者や飲食店の方の話を聞いたり,

開発する弁当について話し合ったりしていく中で,

「彩りのよい弁当」「郷土料理を生かした弁当」「地元食材を生かした弁当」

というコンセプトが浮かび上がってきました。            

それぞれのコンセプトのよさを聞いていくと,

地元食材を使った弁当だけ,生産者にとってのよさが指摘されます。

消費者に食べる楽しさを感じてほしいと考えていたはずなのに,

生産者の立場で意見を述べているのです。

消費者のための弁当を生産者の立場で考える,この矛盾を子供に問いました。

これが,評価のための基準をつくる1つ目の問いかけです。

消費者と生産者の立場が混在していることが明らかになると,

地元食材を使うことと,消費者の食べる楽しさとの関係が話題になります。

しかし,これまで「食べる楽しさ」の意味について話し合ったことがありません。

子供は,食べる楽しさの意味を曖昧にしてきたので,

地元食材との関係について即答することができませんでした。

子供が食べる楽しさの意味に意識を向け始めた瞬間です。

ここで,子供に食べる楽しさの意味を問いました。

これが, 評価のための基準をつくる 2つ目の働き掛けです。

立場を問う,意味を問う,この2つの問いかけによって,

食べる楽しさの意味について考える話合いが行われ,

食べる楽しさとは,

「懐かしさを感じたり,地元の誇りを感じたり,新しい発見をしたりすること」

と規定されました。

これが評価のための基準になり,これを使って例えば,

「自分たちが考えたお弁当は,食べた人が新しい発見をするものになっているのか」

と子供自身が学習を振り返るようになるのです。

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