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2025.09.27



今回話題に出したいことはこの3つです。総合的な学習の時間の話になると,教師による単元構想や指導計画の話が多くなるのかなと思いますが,『01:総合的な学習の時間を子供はどのように捉えているのでしょうか?』 また,総合学習で『子供は何をつくりだすのでしょうか?』 そして,そのために,『教師は何を見取り,どのように関わるのでしょうか?』


これは3年生の子供が,1年間の総合学習を振り返って書いたものです。
総合のおもしろいところとして,「一から最後まで教科書も何も答えもない。自分たちで1人ずつの意見を聞き合って授業を発展させていく。1つの教室から始まって新潟から世界まで可能性が広がって終わりがない。」1年間の実体験や学びからこんな言葉が並んでいました。
そして,「いろいろな物語を自分たちで作って,新しい挑戦にいろいろ挑んで,自分たちの物語をつくる楽しさやおもしろさがある」と表現していました。
物語を自分たちでつくって,挑んで,また物語をつくる。それが楽しくおもしろい」と,子供も探究がスパイラルになっていることをなんとなく感じているんだなと思いました。

これは昨年度担当していた6年生が,新潟市の新聞社に投書していたもので,実際に掲載された本文です。 今回紹介する「自己探究学習」に関する内容が書かれていました。
「自己探究学習とは,教師が立てた問いについて生徒たちが正解を探すのではなく,自分自身で課題を決めてその答えを探す学習です。この学習では,自分が決めた課題の答えを出したいという『探究心』が大切です。」最後の段落には,「自己探究学習は,自分で考え行動し,結論をだす学習です。自分が主役になる学習なのでテーマは無限大にあり,やろうと思えば何でも探究していくことができます。」と書かれてありました。子供が学習の意味を価値付けてくれたことに驚きと共に,すごく嬉しくなりました。


自己の生き方に関して,この探究課題を探究していくことで,子供が「自分を知る」,「自分が本当にやりたいことは何なのか」がわかってくることを願い構想しました。

単元の始まりは,オリエンテーションを行い,自己探究学習がどういうものか話しました。

子供が自分で探究していく力をつけたいので,本実践では基本的に子供がガイドブックを参照しながら自分で探究学習を進めていきます。

子供と70時間をどのようにつかっていくのか,単元の全体像も共有しました。教師だけが知っている,教師が決めるという子供の認識を,「自分で決めて進めていくんだ」というものに変えたいと思っています。

探究テーマも子供が自分で決めます。ガイドブックの各ページにおよその進め方が書いてあります。

自己探究学習の実践において具体的にどのような探究をしていったのか,昨年度の子供の例を一部紹介します。

自動車が好きな子供です。自分の体験から始まっています。「お母さんが車を買い替えた。ガソリンの減りが早い。一緒に乗っていると給油の回数が増えたと自分もそう感じる。あと,環境問題って言葉をよく聞くな。環境にいい車ってどんなものなんだろうな。」ここからこの子は探究テーマを決めていきました。探究テーマを決めるにあたり,これまでの自分の体験の具体的な内容や体験から自分が感じていることを書き出し,話していきました。

自動車の排出ガスと地球温暖化の関係,そしてそれに対する自動車メーカーの取組を調べていきました。中でもエコカーに着目し,電気自動車と燃料電池自動車のメリット・デメリットを比較していました。そして,自動車メーカーの技術だけに頼るわけにはいかないと自分の考えをつくり始めていきました。何か一つ分かったら次へ向かうことを繰り返し,個々の情報を結び付けていく姿が見られました。

電気自動車が,本当に環境にやさしいのかということ自体も考え直していきました。自分の解釈をつくっていく中で,自分の理解と新たな問いが生まれる。これが探究している姿の一つなのではないかと思います。

その後も,個人で取り組む難しさから,社会全体で取り組んでいかなければいけないという考えに視点を変えて,地元の企業を調べていくなど,自分で探究を進めていきました。

また,現在どのような最新の研究が行われているのか,大学の研究者に連絡をとり調べていく姿も見られました。

そして,燃料電池自動車を普及させるためにどうしたらよいかを考えたり,これまでの探究をもとに自分が考える未来の自動車を創造したりしていきました。

先ほどの「光合成する車」のように,探究を通して,自分の答え(解釈)をつくりだしていきました。すごいなと思ったのが,今の日本の自動車の状況は環境にやさしいとは全く言えないという考えに至ったこと。ハッピーエンドではない。かえって問題だということがわかった。これがすごいなと思いました。

では,こういう子供たちに,教師は何を見取りどのように関わっていくのがよいのでしょうか?

本実践の自己探究学習で言えば,子供が自分で探究を進めていく単元構想にしているわけなので,教師はむしろ何も関わらない方がいいのか?

子供が対話している様子がいいなと思うと,そこに入っていくことを躊躇しませんか。子供たちの真剣な表情のやりとりっていいですよね。聞き入ってしまいます。

子供たちも,「意外に人と話すと分かってくるものだなと思いました。」や「自分では思いつかなった方法も友達の意見を聞いて,新しいやり方などを思いつくことができました。」と話していました。相手からの質問が考えるきっかけになっていたようです。

それでも,教師の関与,関わることは必要だと思います。むしろ,子供の姿を見取って,タイミングよく関わっていかなければいけないと思います。基本的にはこの4つを考えています。「問いかける」「価値付ける」「選択肢をつくる」「サポートする(外部との連絡,参考資料を用意するなど)」

では教師は何を見取るのか?私は子供の判断している様子を見つけたいと思います。決まったと自信をもって決断できた様子もあれば,反対に迷っている,決めきれない様子もあると思います。

具体的な場面で言えば,探究テーマを決めるとき,ここは子供の様子は様々です。

「探究テーマが決まった。これやりたい!」という明るい子供を見つければ,「決まったみたいだね。どんなことをやってみたいの」と話し掛ける。共感したり、例を出したりして、探究していく意欲をさらに高めたいです。

一方で,「探究テーマが決まらない。」「自分が何がしたいかわからない」という子供もいます。迷いを感じている子供の姿を見取ったら,「迷ってるみたいだね。どんなことで迷っているの」と話し掛けます。子供が話した内容について共感したり質問したりして,これまでの自分の経験や思いを想起させます。そして,複数人の子供が同様の状況であると見取ったら,見取った子供の例をモデルに全体に働き掛けて検討し,どうしていくか共有を図っていきます。

例えば,個別の関わりでこれまでにこんなこともしました。キャッチボールしようと話しかけて,黒板の前に連れ出し,「Aさんは何が好きなの?」「なんでー?」「どこが好きなの?」とか言葉のキャッチボールを続けていきます。そのうちに,好きなんだけど,カロリーがとかニキビが…太っちゃうとか気になるところが出てきます。「そういうの気にしないで食べたいよー」なんて本音も出てきます。それで,それってけっこう共感できそうだよね。「じゃあどうする?」と,「一つで満足できるチョコがあったらいい」とか何かいいアイデアないかなみたいな方向に話が進んでいきました。硬さとか味とか,見た目とか,調節できる,楽しさなどの観点や具体的なすでにある商品などの話を続けながら,さけるチョコができないかみたいな,「食べてもいろいろ気にしなくていい新しいチョコができないか」みたいなテーマになっていきました。自分がそれを食べたい,ほしいという願いがエンジンになってその後の探究が進んでいきました。

そんなやりとりを見ていた別な子供が,「先生,キャッチボールしよう」と話しかけてきました。「あっ,なんかいいかもこれ」と思ったのかもしれませんね。この子は先ほどの投書の子供,ピーマンの食べ方を探究していった子供なんです。苦味をなくすことはできないけど,やわらげることはできるかも!や,ピーマンのおやつもできないかなと探究の方向性を想像していきました。

そして,その子供は,悩んでいる友達に相談され,「キャッチボールして一緒に考えよう」と,自分たちで言葉のキャッチボールを始めていきました。

話題の2つ目で,子供は何をつくりだすのか? +αとしました。探究していったことでつくりだされるものは,自分の答え,学習成果物,そして+αとして,この子供の言うように「『探究心』」自分が決めた探究テーマの答えを出したいという情熱,態度ではないかと思います。

この子供たちのように自分でどんどん探究を進めていく姿もあります。一方でどうしたらよいのか立ち止まっている子供もいます。その都度,子供の様子を見取り,教師の関与,関わりを変えていく必要があります。小学生の発達段階では,ガイドブックがあれば自分で探究できるとは限りません。教師の働き掛けや関与も必要です。

子供たちが探究を進めていくためにいろいろな教師の関わりがあると思います。初等教育研究会でみなさんと一緒に考えていきたいです。