オンライン学習支援②〜説明文Ⅱ〜

2020.05.06

説明文「アップとルーズで伝える」(光村図書4年上)

前回は,説明文の初めの感想の交流を促す学習場面について,オンライン学習支援の取組をご紹介しました。

↓前回の更新「オンライン学習支援②〜説明文〜

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今回は,説明文の分析的な読みを促す学習場面について,ご紹介します。

ここでは,以下のようなねらいで学習を行います。

オンライン学習は,「ロイロノートスクール」というアプリを介して,以下のような流れで進めます。

このような教師と子どもとの双方向的なやりとりを,複数サイクル行って1時間のオンライン学習を進めます。

分析的な読みを促す学習場面① 対比して読む

サイクル1 段落をアップとルーズで分ける

子どもが各段落の内容をつかむための活動です。

教師からの働き掛けは,上掲のようなカードを子どもに送信することで行います。

カードには,イラストや文字の他に音声を添付することができます。

カードに教師の声を添付することで,子どもたちは教師との「つながり」を感じながら学ぶことができます。

子どもたちは,カードに自分の考えを入力し,教師に送信します。

子どもたちが送信したカードは,教師の端末に一覧で表示されます。

また,教師が「共有」の設定をすれば,子どもたちの端末にも一覧で表示することができます。

サイクル2 「ルーズ」の良さを説明する

子どもが5段落(「ルーズ」の説明)に着目し,その良さを理解するための活動です。

ここでは,子どもたちが各段落の内容を把握したことを受けて,初めの感想で興味をもった段落のグラフを再び提示しました。

そうすることで,初めの感想で,「アップに興味をもった人が多く,ルーズに今日にをもった人は少ない」ということが明確になります。

そのことを踏まえて,「ルーズ」にはどのような良さがあるのか,という発問を送信しました。

教室では,このようなことを子どもとのやり取りで進めていきますが,オンラインでは,教師が提示する形で進めることになります。

サイクル3 「アップとルーズはどちらも良いものである」という教師が提示した主張について,自分の考えを説明する。

子どもが,4段落(アップ)と5段落(ルーズ)とを対比して読むための活動です。

教師:文字,イラスト,音声を活用した発問カードを送信
子ども:自分の考えを説明したカードを送信

サイクル1〜2と同様に,教師は文字,イラスト,音声を活用した発問カードを送信します。

子どもは,自分の考えを説明したカードを送信します。

そして,それらは教師の端末と子どもの端末に一覧で表示されます。

サイクル4 解説を聞き,学習を振り返る。

子どもが学習をふり返り,発揮した資質・能力を自覚するための活動です。

教師:文字と音声を用いた解説カードを送信
子ども:ノートの記述を撮影して送信

教師は,文字と音声で,1時間の学びをまとめる解説カードを送信します。

子どもは,それを受けて,学習のふり返りをノートに記述し,撮影して送信します。

子どもがタイピングに慣れていない場合,長文をカードに入力することは大きな負担となります。必要に応じてノートを活用させることが有効です。

このように,双方向的なやり取りを通して,

4段落(「アップ」の説明)

5段落(「ルーズ」の説明)

これら2つの段落を対比して読むことを促し,「アップ」と「ルーズ」の良さを明確にしていきました。

分析的な読みを促す学習場面② 類比して読む

次時には,以下のように説明や発問を送信して,

7段落(新聞の事例)と1〜6段落(サッカーのTV放送の事例)とを類比して読むことを促しました。

対比して読む学習場面と同様に,双方向的なやり取りを複数サイクル行って,

異なる事例を扱っている7段落の良さを明確にしていきました。

分析的な読みを促す学習場面③ まとめ動画

さらに,2時間のオンライン学習で学んだことを,動画にまとめて子どもたちに送信しました。

この動画は,2時間の学習を受けて,説明文「アップとルーズで伝える」を対比して読むこと,類比して読むこと,の具体について解説しています。

動画は,テロップや効果音を挿入する,無駄な箇所を省くなど,簡単に編集したものを用います。

子どもにとって,担任の先生が出演している動画は,特別なものです。そのことに加えて,テンポよく動画が進むように編集を加えることで,子どもは集中して動画を視聴することができます。


文字,音声,イラスト,動画など,様々な方法で子どもたちに働きかけることで,子どもたちは,教師との「つながり」を感じながら学びに向かうことができます。さらに,共有機能の活用によって,友達との「つながり」を感じながら学びに向かうことができます。

また,ノートの活用や動画の送信の部分で触れたように,子どもが集中して取り組むことができるようなユニバーサルな視点も大切です。

つながりを生む

ユニバーサルな視点

これらは,教室での学びにおいても同様のことが言えます。

オンライン学習と教室での学びは,決して別のものではありません。

オンラインだからこその部分,教室だからの部分を十分意識しながら,どちらにおいても本質的な部分を大切にして授業を創っていきたいと思います。

今後もオンライン学習の実践について,紹介していきます。

↓ご意見・ご感想をお待ちしています。

nakano@fusho.ngt.niigata-u.ac.jp

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