秋研究会を終えて…「つくろう!ぼくらのひみつきち」

2022.11.28

10月15日に初等教育研究会Autumn が県内限定,対面で行われました。

自分で授業をしていて,子供が本気になって夢中に取り組む姿に,一緒になって楽しんでいた授業でした。

一旦の研究のまとめとして,個人での振り返りをしていきます。

今回,材としたのが校庭の隅っこに作る「ひみつきち」です。

生活科の内容(6)自然やものを使った遊び を基に教材化しました。


響きを聞くだけでワクワクする方も多いのではないでしょうか。もちろん子供は,終始,目を輝かせながら活動をしていました。

みんなで協力してせっせと木を運んでいます。何に使うのでしょうか。
運んできた木材や,持ってきた廃材を使って,ベッドができたり太鼓になったり。

初めは,場所選びから始まり,段々とイスやテーブルができていきました。そしたら,だんだん何やら楽しいものができていきました。子供は,場所作りの中で自然とみんなでできる遊びに向かっていったのです。

  

単元が進み,「ひみつきち」との関わりが増し,活動も豊かになっていったところで研究会の本時の授業を行いました。位置付けとしては,「これまでの活動を振り返る場面」です。

この場面が,本時の主張に関わる部分です。

これまで私も,活動を最終的に振り返り,頑張りを価値付けしたり,自分自身への気付きを促すような指導を意図的に行ってきました。上記の写真は,昨年度の遊び単元で最後に振り返りをした場面です。

ですが,この「振り返り」の場面こそ,そこで単元を終えるのではなく,次につなげる場面として見る方がいいのではないかと考えました。

 

  

これまでの自分と,対象との関わりを振り返ることで,その関わり方が単元始めよりも深まってきたことに気付いた子供は,「もっと〇〇したい」,「初めはできなかった□□ができる!」と,関わり方を変えていくことができると考えました。

     

当然子供は,活動に夢中になっていると,自分がどのように関わってきたのかについては無自覚なままであり,簡単に想起したり言語化したりできません。そこで,上記のような「ひみつきちシート」を作成させ,毎回の活動後に写真で記録を蓄積できるようにしました。

このような学習材は一人一台端末でも可能ですが,グループで活動しているため,同じ学習材をみんなで見つめる状況をつくり出すために,大きな台紙にまとめる形をとっています

   

以下は前時+本時の板書記録です。

前時に,これまでの「ひみつきち」への関わりを想起させ,模造紙にまとめていきました。すると,「しんか」・「パワーアップ」という言葉が子供から出てきました。

そして本時には,

T:「どうしてこんなにパワーアップしていったの?」

という発問から,課題を立て,振り返りの場を設定しました。

子供は,「みんなが手伝ってくれたこと」「諦めなかったこと」「痛かったけど工夫したこと」など,これまでの活動の中での困難と満足感を表出しました。関わりの深まりを自覚しつつある姿です。

さらに,自分にとって「安心できる場所」「思い出の場所」「お祭りの場所」と,対象を自分に引き寄せて捉え,その価値に気付く姿が現れました。

子供は,「まだまだやりたい!」,「作りたいものがある!」と活動に突き進み,次なる活動の方向を見出していきました。

そして教室を飛び出し,「ひみつきち」へ向かう子供たち。

成果と課題

○ 子供にとって魅力的な材は,関わりを深めることに十分有効であった。今回の材は,「拡張・発展・修正がしやすいもの」,「子供の豊かな感性に直接働きかけるもの(自然・野遊び)」であった。

○ 関わりを深めているかどうかは子供は無自覚なため,継続的な表現活動(ひみつきちシート)により,関わりを自覚しやすい状況をつくることができた。

○ 教室での振り返り活動で,次の構想につなげ,外での活動の際にグループ内で見通しをもって,自覚的に「ひみつきち」づくりをしている子供の姿が見られた。

▲ そもそもが魅力的な材なため,「これまでの振り返り」→「次の活動へつなぐ」という流れに,必要感がない子供の姿もあった。

「わざわざ振り返らなくても,もう早くあそこに行って作りたい!」

という子供の姿です。自覚を促したり,活動の構想を考えたりするのは,その場所に行って活動を行いながらでもできます。確かにこれは当然の姿。

ただ一方で,成果に書いているような,よい子供の姿があったことも事実でした。両者のバランスについて,今後も研究を進めていきます。


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