個人研究

道徳科: 江口 健

道徳科: 江口 健

附属新潟小学校5年目,江口 健(えぐち たけし)です。

今年度は,生活指導主任です。

2年生,3年生,4年生,6年生の道徳を担当します。

令和の道徳授業はどうあるべきか,皆様と共に考え,実践していきたいと思います。

多くのご批正をいただけると幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

研究キーワード:「役割演技」「ICT活用」「自分事」

メール:eguchi@fusho.ngt.niigata-u.ac.jp

きもちのよいせいかつ

2021.10.15

1年生「かぼちゃのつる」(内容項目:節度,節制)の実践を行いました。

子供たちは,わがままはよくないということは知っています。しかし,家族などの大人に「わがままはよくない」と教えられることが多く,「なぜよくないのか」などと深く考える経験が少ないため観念的な理解に留まっている状態だと考えます。

そこで,子供がわがままについて自分や他者に及ぼす影響などを深く考え,役割演技を通して道徳的価値について実感を伴って理解できるようにしたいと考え,授業を構想しました。

まず,教材を再現構成法で読み聞かせた後,自分がかぼちゃだったらこの後どうするかを問うて,ネームプレートで立場を示すように指示しました。

かぼちゃさんのつるの伸ばし方について,「伸ばしたい気持ちは分かるけれど,伸ばし方はよくない」という思いを共有し,「かぼちゃさんのようにつるを伸ばすのは,どうしてよくないのかな」と課題を設定しました。

次に,課題についてグループで考えを話し合う場を設定しました。

各グループで自分の考えを書きながら話し合うようにしました。

「みんなが通る道なのに,じゃまになる」「すいかさんが困ってしまう」「みつばちさんやちょうちょさんも困る」などと,様々な立場から考える姿が見られました。

そのような子供たちの考えを見取り,全体で共有しました。

その後,役割演技の場を設定しました。

本時における役割演技は,はじめに教師がかぼちゃ役,代表の子供がすいか役となり,教材の場面を演じました。次に,子供がかぼちゃ役,教師がすいか役となり,子供が考えた行為を演じました。二つの演技を比較させ,それぞれの行為は見ていてどのような気持ちになるのかを考えさせるためです。

子供は,二つの演技を比較することで,代表の子供が演じた行為は,相手(すいか)も自分(かぼちゃ)もうれしい気持ちになるということを実感することができました。

初等教育研究会Autumnでも,役割演技を取り入れた授業を提案します。皆様から忌憚のないご意見をいただけると幸いです。

みんなでつかうものだから

2020.12.30

2年生「規則の尊重」の内容項目で授業を行いました。

教材を読むと「みんなで使う物は大切に使わなければいけない」と感じます。授業の始めに一人で感じたことが,授業を通して道徳的価値についての見方が広がったり,深まったりすることが大切だと考えます。

今回は,ねらいに迫るために,役割演技を取り入れた実践を行いました。

2年「ともだちとなかよく」

2020.05.29

 休校や分散登校で,友達と会えない日々が続いている子どもたち。「早く会いたい」「一緒に遊びたい」という思いをもちながら,自分にできることを精一杯している姿に心打たれます。そんな子どもたちに,今,どんな道徳授業をするとよいのかを考える毎日です。今回は,学校が再開したときに,これまで以上に友達の大切さを感じてほしい,助け合うことで友情を深めてほしいという思いを込めて授業を行いました。



どうする? 道徳×オンライン

2020.05.08

臨時休校に伴い,様々なオンライン授業が行われています。オンラインでの道徳授業はどのように行うのか?道徳では,子どもが多様な考え方や感じ方に接することが大切です。そのため,道徳では同期型のオンライン授業が効果的だと考え,実践を行いました。


初等教育研究会「すなおにあやまる心」

2020.01.23

子どもは「きまりを守ることは大切」「わがままな行動をしてはいけない」など,道徳的価値の大切さは分かっています。

しかし,これまでに「大切だ」と教えられただけで,観念的な理解に留まっていることが多くあります。

道徳の授業によって,子どもが「本当に大切だ」と実感を伴って理解することができるようにするために,問題解決的な学習に焦点化して研究をしてきました。

「自分であればどうするか」を考え,語り合う子どもたち。

友達の考えを聞き「あ~,その気持ち分かる。だって~」と自分の経験と関連させて考えたり,「友達の考えを聞いて考えが変わりました」と見方を広げたりする姿がありました。

役割演技をすることで,道徳的心情を高めるとともに,道徳的価値を実現することの難しさを感じ,「どうするといいのかな」などと,考えを深めていました。

2月6日,7日の初等教育研究会では,「正直,誠実」の内容項目で授業を行います。

子どもが考え,議論する姿をご覧いただき,ご批正をいただければ幸いです。

どうぞよろしくお願いします。

よくばりすぎないで

2019.11.09

「A 主として自分自身に関すること」の内容項目では,「ゲームをしすぎるのはよくない」「わがままをするのはよくない」などと,子どもたちがこれまでに分かっていることを話すだけで終わってしまう授業をしてしまったことがあります。

そこで,今回は子どもたちが自分ごととして考え,授業の中で「自分の考えが変わった」と感じられるような授業を行おうと考えました。

今回は,「黄金の魚」を教材として授業を行いました。

何でも願いを叶えるという黄金の魚に対し,要求がエスカレートするおばあさん。

最後には「海の女王になりたい」と言い,もとの姿に戻ってしまった場面で「そんなによくばらなければよかったのに」「やめておけばよかったのに」と話す子どもたち。そこで,

よくばってしまうおばあさんの気持ちの気持ちに共感できるかを問う

「おばあさんのよくばっちゃう気持ち,分かりますか」と問うと子どもは,

「分かります。前に僕が「このお菓子買って」と言ったら,「いいよ」って言ってもらって,調子に乗って「これも,これも…」って言ったら「ダメ」って言われて,何にも買ってもらえなかった」と,これまでの経験とつなげて話しました。それを聞いた子どもたちは,「あぁ,そういうことある」と自分の経験を想起し,よくばってしまう気持ちが自分にもあることに気付きました。

自分であればどの段階で願い事をやめるか立場と理由とを問う

そこで「もし,自分がおばあさんの立場だったら,どこでやめておきますか」と問うて,立場を決めさせました。

約半数の子どもたちが「お金持ちにしてもらうまでにする」と考え,理由を話しました。

次に「おけだけをお願いする」と考えた子どもに理由を聞きました。

最後に「お願いをしない」と考えた子どもに理由を聞くと

すると,「先生,(立場を)変えてもいいですか」という子どもの声が。理由を聞くと「みんなの話を聞いたら,考えが変わった」と話しました。

そこで,再度立場を問いました。多くの子どもの考えが変わり,①②の立場になりました。

よくばりすぎないことのよさは何かを問う

「せっかく願いを叶えてくれるのに,お願いをしないのですか」と問うと,うなずく子どもたち。「よくばりすぎないことのよさ」を学習課題に設定し考えました。

まず,個人で考え,その後ペアでできるだけたくさん考えを出すように指示しました。

子どもたちからは

・自分がわがままな性格にならなくなる

・人に迷惑をかけない

・自分のことがしっかりできる人になる

などの考えが出てきて,その理由に「あぁ~」「たしかに」など共感していました。

学習後,次のように子どもは振り返りを書いていました

よくばってわがままを言わないで,ふだんの生活を続けるよさを知りました。よくばるといいことが起こるかもしれないけど,悪いことも起こる。よくばらないといつか永遠の幸せにたどりつける。私はそのように感じました。

よくばりすぎないことのよさを自分ごととして捉え,これからの生活に生かそうとしていました。

参考文献:教科書教材でつくる 道徳科授業のユニバーサルデザイン(東洋館出版社)

気持ちを伝え合って -相互理解,寛容-

2019.08.13

 子どもたちが学校生活で行っている係活動。もしも自分と同じ係の友達が仕事をしていなかったら・・・。「水やり係」の教材を使い,友達が係の仕事をしていなかったときにどうするとよいかを話し合うことを通して,自分の思いを相手に伝えるとともに,相手のことを理解しようとする心情を育てることをねらいとして実践を行いました。

 自分だったら「クラスのみんなのために注意をする」と考えていた子どもが,友達の考えを受けて,「水やりをちゃんとやると頼りにされるよ」と伝えるなどと,クラスのみんなのことを大切にしつつ,相手の立場や気持ちも考えて,自分の思いを伝えようと考えが変わる姿が見られました。

 その後,実際にどんな言葉を,どんな態度で声を掛けるのかを試す役割演技の場を設けました。友達の演技を見て「優しい感じがして,嫌な感じがしなかった」と,相手の立場を考えながら声を掛けるよさを感じたり,「あんまり優しすぎるのも『次からちゃんとしよう』と思ってもらえないんじゃないかな」と,自分であればどうするかを深く考えたりすることができました。

 しかし,「はじめと考えが変わらなかった」という子どももいました。子どもがこれまでもっていた道徳的価値を「あれ,今まで考えていたことと違うぞ」などと変容させるための働き掛けを考えていく必要があると改めて感じました。

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