個人研究

国語科: 渡邉 裕矢

国語科: 渡邉 裕矢

附属新潟小学校5年目。渡邉 裕矢(わたなべ ゆうや)と申します。

研究教科は国語科です。今年度は、級外の生活指導主任となりました。授業では、1年生と6年生の国語を担当します。

小学校段階の国語授業のスタートとゴールをどのようにしていけばよいかを考えながら、日々の授業実践を行っていきます。

どうぞ、よろしくお願いします。

 

メール:watanabe@fusho.ngt.niigata-u.ac.jp

子供に委ねる国語授業「海の命」

2025.09.30

今年度も、昨年度に引き続き、「問いづくりとその追究」を核とした「子供に委ねる国語授業づくり」を実践しています。今回は、6年「海の命」の実践を紹介します。

「子供に委ねる授業をしたい!」とは思いつつも、実際は「子供が自ら追究することで、読みを深めることができるのか?」という心配があるのではないかと思います。そこで、教師が何をするべきなのかを考えていくことが重要です。

問いづくりとその追究を核とした単元を構想しました。問いの追究に関しては、子供と相談し、「個別(それぞれの問い)の追究」→「全体(みんなで考えたい問い)の追究」という流れで学習を行うことを決めました。

そして、物語を読んで感じた疑問を基に、解決したい問いを設定しました。子供は、ピラミッドチャートや座標軸などの思考ツールを使って、以下のように自分がつくった問いを整理・分類していました。

いよいよ子供が問いを設定し、問いを追究していく段階になります。子供に大きく学びを委ねる場面です。さて、この場面では、教師は何をすべきでしょう?教師には何ができるのでしょう?

私は、「子供に直接働き掛ける支援」と「子供に間接的に働き掛ける学習環境デザイン」の2つの支援が重要ではないかと考えます。

これは、昨年度の初等教育研究会で、新潟市総合教育センターの桑原先生が私の授業を分析してくださったものです。このように、直接的に働き掛ける支援を行っていました。

昨年度の段階では、子供の追究に寄り添いながら支援を行ってきました。しかし、必ずしも読みの深まりにまでは到達しないような追究の様相も見られました。そこで、学習を子供に委ねるなら、内容面に関してももっと積極的に支援を行ってもよいのではないかと考えるようになりました。

私の本単元における基本的な構えとしては、「私も、みんなと同じ一読者として学習に参加させてほしい」ということです。そうすることで、物語を読み、解釈した時の驚きや感動を子供と共に共有していきたいと思うからです。

私の国語授業では、他者とつながりながら学ぶための環境づくりとして、「全文プリント」や「拡大教材文」、「ホワイトボード」をいつも準備しています。また、ICTの共同編集機能なども、子供の求めに応じて準備をします。情報を可視化することにより、子供はつながりながら学びを進めていくことができます。

今回、全員が追究している問いを一覧にして可視化する「問いボード」を作成しました。他者の問いと追究状況を可視化し、協働しながら追究することをねらいとしました。子供は、追究の過程において、この問いボードを確認しながら次の問いを見付けたり、追究相手を探したりしていました。また、問いと問いとのつながりを見いだしたり、新たな問いを見付けて共有したりする場としても機能していました。

2時間目に確認した「登場人物の人物像」をまとめ、掲示しておきました。こちらは、子供が読み取ったことをどんどん追記していくイメージで作成をしましたが、なかなかうまく活用されませんでした。改善の余地がありそうです。

子供は、それぞれ問いの追究に向かいます。教師は、追究の相手や方法を子供に委ねます。同じ問いをもつ子供と一緒に追究を始める子がいれば、一人で黙々と追究に取り組む子もいます。教師は、それぞれの様子を見取り、必要な支援を行っていきます。

ある子供は、「どうして瀬の主を殺さなかったのか?」という問いを追究していましたが、途中から「どうして瀬の主をおとうだと思ったのか?」という問いに変更して追究を進めていました。その子供に理由を問うと、「メインの問い(どうして殺さなかったのか)を考えていたけど、もう一つの問い(どうしておとうだと思ったのか)を考えないとその答えが分からないと思ったから」と答えました。この子供は、「問いと問いとのつながり」を見いだしていたのです。この子供の姿を全体に紹介し、その考え方のよさを共有しました。

以下は、実際の子供の追究の様子です。

それそれが問いを追究する時間を2時間設定しました。そして、その後に複数の子供が追究していた問いを取り上げ、全体で考える時間を設定しました。

ここでは、別々の問いを追究していた子供同士をグループ編成し、様々な考えを交わしながら課題解決できるように働き掛けました。

それぞれが導き出した考えを基に、問いのつながりを考えながら意見を出し合いました。

以下は、単元全体を通した学びの振り返りです。

子供は、様々な問いの追究を通して、登場人物の心情の変化を捉えたり、それぞれの人物像をより深く読み取ったり、登場人物の相互関係を読み深めたりする姿が見られました。また、登場人物の生き方と物語の全体像を関連させて読むような姿も見られました。

そして、問いづくりとその追究という学習過程が、子供にとって価値を自覚できる学習だということも分かりました。

子供に追究を委ねることにより、こちらが想定していなかったような素敵な読みが子供から生まれます。正直、個々の追究に対する私の支援は十分なものではなかったと反省しています。それぞれの追究をどのように見取り、どのように支援していけばよいかはこれからも考え続けていきたいと思います。

教師も、一読者として「子供と共に物語を読み味わい楽しむ気持ち」を忘れずに、今後も子供に委ねる国語授業を追究していきます。

自ら設定した問いを探究する授業 -6年 国語「きつねの窓」-

2024.08.10

 今年度、私が目指すのは、「自ら問いを設定しながら読み、複数の情報を関連させながら読みを深める子供」の育成です。6月に実践した授業を基に、成果や課題についてお伝えします。

 今回扱った教材は、「きつねの窓」(安房直子:作、教育出版6年)です。子供たちは、4年生の時に安房直子さんの「初雪のふる日」を学習しています。どちらの物語も、少し不思議なところが多いファンタジー作品となっています。「きつねの窓」は、以下のような内容となっています。

 以下、授業が行った「きつねの窓」の教材分析です。「登場人物の人物像」「物語の設定(時・場・展開)」「色の表現」の3つの観点を基に、子供がどんな問いを設定するか、どのように読みを深めさせるかを構想しました。

 子供たちは、「問いづくりを中核とした授業」を行うのが初めての経験なので、こちらから「問いのつくり方」を提示しようかと最初は考えたのですが、結局提示するのはやめました。子供たちが考えた素朴な問いから、価値のある問いを見付け出していってほしいと考えたからです。

 提示はしなかったのですが、こちらが子供たちの問いを想定する上で有効に活用することができました。

 問いづくりを中核とした授業を、以下の①~⑤のステップで構想しました。そして、物語の魅力をまとめ、それを友達と紹介し合うという言語活動を設定しました。

 授業の実際を紹介します。子供たちは、以下のような問いを設定しました。そして、似たような問いを追究しようとする仲間を見付け、共に課題解決に向かっていきました。

 ある抽出グループの追究の様相です。このグループは、「なぜ、ききょうの花で指を染めると、大切な人が映るのか?」と「どうして、たくさんある花の中で、ききょうの花なのか?」という問いについて考えていました。

 なかなか本文から明確な根拠が見つからず、悩んでいましたが、A児が「花言葉とか、絶対関係しているよね」と発話します。A児は、ききょうに単なる花以上の意味を感じ、問いを追究する方向性を見いだします。

 その後、「ききょうの花言葉が『永遠の愛』である」という情報と、「青は『悲しみ』を表現する色として使われる」という情報とを組み合わせて新たな考えを生み出すことができました。

 そして、追究していた問い「ききょうの花で指を染める理由」の答えを、「ききょうの花言葉が『永遠の愛』とか『変わらぬ愛』とかずっと愛してるみたいな意味で、青色の意味が『悲しみ』だったから、もう会えない人とか会えないものとか、そういう大切に思っていた愛していたものが、窓で見えるんじゃないかなっていう結論になりました」と考えて発表しました。A児は、問いの追究を通して、「青いききょうが物語においてどのような意味をもつのか」について、読みを深めることができました。A児は、自分なりの見方や感じ方に基づいて「きつねの窓」を探究し、新たな価値を創り出すことができました。

 一方、働き掛け2の全体共有の場面では課題が残りました。授業者は、子供たちが悩んだり迷ったりして根拠を見付けられないという場面での発問を想定していたのですが、子供たちは問いを追究する中でそれぞれがしっかりと自分たちの答えを導き出していたのです。そのため、深い読みに誘うような発問をすることができず、発表会のような形となってしまいました。この全体共有の場面は、働き掛けの再考の必要性を感じました。

 また、追究を子供に委ねると、思い込みで読み進めてしまうこともあることが分かりました。例えば、板書にもありますが、「なぜ、きつねはぼくから鉄砲をとったのか?」という問いを追究していたグループが複数ありました。すると、明確な根拠がないにも関わらず、「きつねはぼくに恨みをもっている」「母きつねを殺したのはぼくだ」というように読んでしまいがちになってしまうのです。このような場面を想定しておき、教師が適切に出ていくことも大切だと思います。そのようなポイントを、教材分析の段階で明確にしておく必要があると感じました。

 今回の実践を通して、授業づくりのポイントとして明らかになったのは、以下の4点です。


 授業における教師の出には課題がたくさんありましたが、子供が問いを追究する姿には、大きな可能性を感じました。私がこれまで行ってきた授業では生み出されない独創的な考えがたくさん生まれたと思います。その子供たちの考えをより生かすことができるように、今回の反省を基に、よりよい授業を創り上げていきたいと思います。

 11月の初等教育研究会で、さらに素晴らしい子供の姿をお見せしたいと思います!ぜひ、初等教育研究会にお越しください。お待ちしております。

6年国語「やまなし」単元計画&全時間指導アイデア

2023.11.03

 初等教育研究会では,県内・県外から多くの皆様にご参会いただきました。学びの多い研究会となりました。本当にありがとうございました。

 今回は,6年国語の定番教材「やまなし」を実践しました。複数教材を用いて,主教材「やまなし」を読み深めることと,複数作品を読み味わいながら,宮沢賢治が作品に込めた思いを読み取ることをねらいとして単元を構想しました。

 本単元においては, 二段階の複数教材活用の場面を設定しました。 第7時は,複数教材を基にして「やまなし」を読み深める時間,第8~9時は,教材文以外の複数の宮沢賢治作品を読んで読み深める時間としました。

 これは,子供たちから出た初発の感想を教師が集約して子供に示したものです。子供たちは,「やまなし」の表現のよさに着目しつつ,たくさんの疑問をもちました。その中でも,最も多かった感想は「よく分からない」でした。だからこそ,「自分なりに読み取りたい」という感想も多く見られました。そこで,まずは「作者である宮沢賢治とはどういう人か?」「他の作品から分かることはあるだろうか?」ということを子供たちと共有し,学習の見通しをもちました。

 第2時では,教科書にも掲載されている副教材「イーハトーヴの夢」を読み,賢治の人物像を読み取りました。

 第3時では,副教材として「雨ニモマケズ」と「永訣の朝」という二編の詩を読みました。これらを扱うことで,賢治の考え方や生き方により深く迫ることができると考えたからです。

 第4時では,初発の感想の段階で自分たちがもった疑問について考える時間を設定しました。子供たちは,自分なりの読みを考えていましたが,「作者がこの物語で何を伝えたかったのか」という課題は,なかなか明確にすることができていませんでした。そこで,これをみんなで追究していく課題として設定することにしました。

 第5~6時は,「やまなし」の内容の読み取りに入っていきました。子供たちは,「五月」と「十二月」のそれぞれの場面で何を表しているかを考えました。

 今年度,当校の研究で大事にしている「スタディ・ログ」という学習の履歴です。子供たちは,毎時間の授業の終末に,学習の振り返りと共に学習履歴の整理を行ってきました。これらを活用しながら,課題解決に向かっていきます。


 第7時は,大きな追究課題である「宮沢賢治がやまなしを通して伝えたかったことは何か」について考えました。「課題を考えるうえで,参考になりそうなものはありますか?」と問うと,子供たちは,主教材である「やまなし」の他に,「永訣の朝」「イーハトーヴの夢」「雨ニモマケズ」という副教材を挙げました。

 そこで,それらの四作品を一枚のシートにまとめて拡大した「複合拡大教材文」を子供たちに提示し,考える時間を設定しました。子供たちは,以下のように主教材と副教材を関連付けながら,賢治が「やまなし」に込めた思いを読み取ることができました。

 第8~9時には,「宮沢賢治がたくさんの作品を通して伝えたかったことは何か」について考えました。単元の初めから宮沢賢治作品特設コーナーを教室の一角に準備し,並行読書に取り組んできました。

 子供たちは,以下のように複数の作品を関連付けながら,賢治の思いを読み取っていきました。

 子供たちは,それぞれが読み取ったことを,「宮沢賢治ブックトーク」で友達に伝えました。交流する中で,子供たちは自分が読んでいない作品のことも知り,賢治作品の捉えを深めることができました。

 「やまなし」は,いつでも,誰が読んでも疑問が生まれ,様々な読みを生み出すことのできる不朽の名作です。様々な解釈ができるからこそ,その読みの妥当性の根拠とするために,複数教材の活用は有効であったと考えています。

 今後も,「主教材にはどのような副教材を組み合わせるのがよいのか」「複数教材を関連付けて考えさせるためにはどうすればよいのか」を追究していきたいと思います。

日本海はすばらSEA!~モデル発表に隠された構成のヒミツ~

2023.01.31

初等研Winterの授業動画公開がスタートしました。4年国語「日本海はすばらSEA!」は,もうご覧いただけたでしょうか?

今回は,提案授業の中で子供に提示した4つのモデル発表の構成に隠された秘密をお伝えします。

4つのモデル発表は,どれも2分という時間で設定をしました。発表内容の長さによる印象の違いを与えないためです。

また,それぞれ事例の順序や,事例の示し方の工夫が異なっています。詳細は,以下の通りとなっています。

発表の長さやだいたいの内容は同じでも,事例の順序や内容の示し方が異なっているため,子供は4つの違いに着目することでそれぞれの特徴を捉えます。

そして,「自分たちの発表に取り入れたいのはどれか?」と問うことで,モデルの特徴の生かし方を考え,それぞれのモデル発表の事例の挙げ方のよさを見いだしていくのです。

抽出グループが作成した自分たちの発表の構成カードと,抽出児のふり返りの記述です。どのようにしてこの姿に至ったのかを,ぜひ授業動画でご覧いただければと思います。

2月4日の協議会では,たくさんのご意見をいただきたいと思います。また,授業動画アンケートもお待ちしております。どうぞ,よろしくお願いします!

日本海はすばらSEA!~初等研Winter 本時までの流れ~

2023.01.25

初等研Winterが間近に迫ってきました。授業動画公開の前に,本時までの流れを紹介いたします。

この単元は,総合学習で学んできたことを基に,国語の学習でよりよく伝える構成を考えるという教科横断的な視点を含んだ学習となっています。

「話す・聞く」力は,すぐに身に付くものではありません。今年度,系統的に「話す・聞く」力を身に付けることができるように,年間3つの単元を核に学習を構想してきました。伝える相手は,身近な相手からスタートし,より遠くの相手(他者)へとレベルアップしていけることが大切だと思います。

「虹の輪(総合学習)で学んだ日本海のすばらしさを発信しよう」と子供たちに提案しました。そして,何を伝えたいかを問うと,「日本海の魅力」とまず挙がりました。そして,「日本海の魅力だけじゃなくて,問題点や改善点も一緒に伝えた方がいい。その方が,日本海の魅力がより伝わる。」とある子が発言しました。みんながそれに賛同し,伝える内容は,「日本海の魅力+問題点+改善点」ということに決まりました。

2時間目には,「日本海の魅力」「問題点」「改善点」の3つをYチャートにまとめながら,構成メモをグループごとに作成しました。そして,真ん中には「自分たちが伝えたいこと」を考えて記入しました。

本時における働き掛けは,上の2つになります。この働き掛けにおいて重要なのが,「複数のモデル発表」です。本時では,4つのモデル発表を提示します。子供たちがそれらを比較することを通して,構成や内容のよさを捉えることをねらっています。

「複数のモデル発表の聴取を通して,どのように構成や内容のよさを捉えたのか」 

「捉えたよさを生かし,どんな対話をしながら自分たちの発表内容を作り上げていったのか」

ぜひ,初等教育研究会Winterにご参加いただき,授業動画をご覧ください。そして,協議会や授業アンケート等で忌憚のないご意見をお寄せいただけたらと思います。

皆さんと一緒に学べることを楽しみにしております。初等研Winterでお待ちしています!

4年物語文「ごんぎつね」単元計画&全時間板書

2022.12.26

4学年国語における不朽の名作「ごんぎつね」。優れた先行実践や発問がたくさん研究されていますが,私なりに実践した「ごんぎつね」を紹介させていただきます。今回は,「子供と共に創り上げる単元」をテーマに実践を行いました。

まず,単元のゴールとなる言語活動を子供たちに決めさせることを試みました。以下の4つの活動案を子供たちに提示し,どれがよいかを尋ねました。

この4つ,どれを選んでも「登場人物の相互関係や心情などについて,描写を基に捉える」という学習のねらいに沿うものを選んで提示してあります。子供たちからは,「感想文にまとめる」と「心情曲線にまとめる」という2つをやってみたいという声が多く挙がりました。そこで,「心情曲線を用いて登場人物の各場面の心情を読み取り,単元の最後に感想文にまとめる」という活動をしていくことに決めました。

まず,初発の感想の交流です。ここで感じた問いを基に,みんなで話し合って解決したい課題を決めます。Xチャートを用い,「ごんについての問い」「兵十についての問い」「心に残ったこと・感想」「気になる表現・言葉」という4つの読みの観点を示し,初発の感想を書かせました。

その後,初発の感想を交流し,「みんなで考えたい問い」を決めました。

そして,全員で決めた「みんなで考えたい問い」と「学習のゴール」を基に単元計画(単元ナビ)を作成し,子供たちに提示しました。子供たちは,「とっておきの感想」=「いい感想・これしかない・自分だけの・真似できない感想」というふうに捉え,それを完成させることを目的に学習に臨みました。

その後,この単元計画を基にしながら学習を進めていきました。

場面ごとに心情曲線を用いた学習場面では,上段にごん・下段に兵十の気持ちを心情曲線で示し,その変化に関する叙述を抜き出させるという学習活動を行いました。この活動は家庭学習で行い,個々が考えたことを全体で共有しながら問いを解決していきました。

10時間目の課題のみ,私の方から提示したものです。物語の続きを予想させることから,前ばなしの設定に気付かせたかったので意図的に課題設定しました。

子供たちは,これまでに読み取ったことを基にしながら「とっておきの感想文」を書きました。ほとんどの子供が,ノート2ページ分もの感想を書くことができました。しかし,これまでに読み取ったことを十分に表現しきれない様子も見られたので,読み取り→考えの形成に至る学習過程については,改善の余地があると考えています。

子供たちは,自分たちで学習のゴールを決めたり,話し合いたい問いを設定したりすることで,いつも以上に意欲をもって学習に取り組むことができました。

あなたに,私の思いを伝えたい ~話す・聞く「友達のよさを伝えよう」~

2022.10.02

 今年度も,「話す・聞く」領域を中心に研究を進めています。

 オンラインで「いつでも・誰とでも」つながることができるようになった今こそ,「話す・聞く」力を高めることに価値があるのではないかと考えています。

 秋に,新潟大学附属長岡小学校の4年生とオンラインで学習交流をすることを考えています。

 そこで,自分たちのことをよりよく相手に知ってもらうために,「友達のよさを紹介しよう」という学習活動を設定しました。友達のよさをよりよく伝えるために,紹介する発表内容を練り上げていくことを目指しました。

 発表内容を考えた子供たちに「友達のよさが伝わる発表内容になっていますか?」と問うと,「う~ん,あんまり。」「私はいいと思うけど,友達からはちょっとってかんじなんじゃないかな。」と,まだあまり自信をもっているような状況ではありませんでした。

 そこで,「先生も,友達のよさを紹介する発表を考えたんだけど,聞いてみてくれますか?」と投げかけ,教材発表動画を大型テレビで提示しました。

 これが,教材発表動画と共に提示した構成カードです。

 教材発表を提示し,「この発表のどの事例が,最も伝えたいよさを伝えていますか?」と子供たちに問いました。すると,子供たちは,「とても頭がよくて友達に勉強を教えている」や「困っている人に進んで声をかけ,助けてあげている」と答えました。「ラーメンが好きって聞いても,その人のどんなところがいいのかよく分からない」など,事例とよさがつながっていないという発言もありました。

 「伝えたいよさと事例がつながることが重要」と気付いた子供に対して,4つのモデル発表動画を提示しました。以下が,モデル発表動画と共に提示した構成カードです。

 そして,「これらのモデルの中で,自分の発表内容に生かしたいものはありますか?また,それはどうしてですか?」と問いかけました。子供たちは,グループの仲間との対話を通して,それぞれのモデルのよさについて話合いながら,自分の発表内容をよりよいものへと修正する見通しをもちました。

 A児は,グループでの対話を経て,以下のように修正の見通しをもちました。

 A児は,4つのモデルを比較する中で,モデルBの「事例の数」と「考えの理由=内容」に着目し,自分の伝えたいことに合うと判断していました。

 そして,以下のように発表内容を修正しました。

 A児は,モデルBの構成のよさを取り入れ,事例を4つに絞り,具体的なエピソード入れて内容を詳しくしながら,発表内容を修正しました。

 この姿こそ,この学習で目指した「複数のモデル発表を比較することで,自分の伝えたいことに合った事例の挙げ方を見いだし,自分の伝えたいことを明確に表現する子供」の姿です。

 本実践では,「グループで話し合う必要感に弱さがあった」「モデルDのよさが見いだしにくかった」という課題が浮かび上がりました。「話合いの必要感を生み出す状況や場の設定」「望ましいモデルの在り方」などを,今後の実践で改善していきたいと考えています。

「一つの花」と「すみれ島」の比べ読みに挑む

2022.08.09

 教科書教材文「一つの花」の読解を終えた後に,「一つの花」と同じ作者である今西祐行さんの「すみれ島」を読み聞かせ,比べ読みをする実践を行いました。

 「一つの花」は,一輪のコスモスの花が登場人物の思いや願いを象徴している作品となっています。「すみれ島」も,物語に出てくる「すみれの花」が重要なアイテムとなっています。また,二つの作品とも戦争中の話ということで,設定も似ています。これらの点から,「キーアイテムが象徴するもの」を読みの観点としながら,比べ読みをすることで作者の今西さんの思いにより深く迫ることができると考えました。

 子供たちは、前時までに「一つの花」で「一輪のコスモスの花」がキーアイテムであると感じ取り,その花に込められた意味を考えました。すると,「幸せや喜びを願う父親の愛情」「将来を心配しつつも,幸せを願う父親の願い」「命を大切にしてねという願い」など,父親が娘を思う気持ちや願いが象徴されていることに気付きました。また,一輪だけだったコスモスの花が,最後の場面ではトンネルのようにたくさん咲いていたことから,「コスモスは幸せを象徴している」というようにも考えました。

 本時の板書です。子供たちは,「すみれ島」の読み聞かせを聞いた後に,まず「一つの花」との共通点と相違点を探しました。そして,「どちらの作品も花に気持ちを込めている」という共通点と,「花に込められた思いが違う」という相違点に気付きました。これらの子供たちの考えを基に「すみれの花が象徴しているのは,どんな気持ちなのか?」という焦点化した課題を設定し,話合いました。子供たちは,叙述を基にしながら,様々な解釈を考えていました。

 ある子の発言です。この子は,花を渡す側の人物の気持ちと,花を渡される側の人物の気持ちを両方想像していました。素晴らしい姿です。しかし,全体ではどの立場の人物の気持ちを考えるのかが明確になっていなかったために,子供たちが考えにくい課題になっていたことが反省点です。また,「象徴」と問われた時に,子供たちは少し戸惑っている様子が見られました。登場人物の気持ちを考えた最後に,花がその気持ちを象徴していたと気付くのが子供の思考の流れに合っていたのではないかと思いました。これも反省点です。

 子供の書いた本時の振り返りです。今回は,1時間の授業の中で,初めて読んだ物語をどの程度読み深めることができるのかに挑戦しました。まだまだ押さえどころが甘く,改善点はたくさんありますが,一生懸命に既習を生かしながら読もうとする子供たちの姿に「象徴するもの」を読みの観点にして比べ読みをすることの可能性も感じました。

 授業終わりに,ある子が「先生,今日の国語の授業楽しかったです。また,こんな授業やってください!」と言ってくれたことがとてもうれしかったです。これからも,子供の意欲を高める国語授業をつくり上げていきたいと強く感じました。

どうして国語を学ぶのか?

2022.05.19

母国語である国語。子供たちは,普段の生活において読んだり,書いたり,話したりする中で困り感をもつことはそうそうないと思います。だからこそ,「どうして国語を学ぶのか?」は子供たちと共有しておきたいなと考えています。

「どうして国語を学ぶのか?」授業開きで,子供たちと話し合ってみました。

子供たちは,これまでの国語の学習を振り返りながら,国語の学習の価値を見出していました。自分の将来の姿とつなげながら話し合う姿がとても印象的でした。以下,子供が記述した授業の振り返りです。

子供たちの思いを大切にし,各単元での学びを価値付けながら一年間の学習を進めていこうと思います。

更なる授業改善に向けて -初等研Winter協議会より-

2022.02.18

 2月5日に初等教育研究会Winter協議会が行われました。たくさんの皆様に参加していただき,充実した協議会を行うことができました。今回は,チャットでも参会者の皆様からご意見をたくさんいただき,議論を深めることができました。ありがとうございました。

 以下,協議会当日に提示した発表資料の一部です。

 そして,協議会では2つの協議題を基に,協議を進めました。

 今回は,二者択一ではなく,3つのモデル動画の提示を試みました。その理由は,以下のスライドに示してあります。

 3つのモデルの比較には大きな価値がありますが,どのように内容を理解させていくのかは難しさもあると感じました。

 子供の課題意識に関してのご指摘をいただきました。子供は,動画を見ただけでは,どうしても発表の仕方(発表スキル)の方に目が向いてしまいます。それは,仕方のないことだと思います。そこから,内容につなげていく手立てが重要です。今年度3回実践を行い,内容面に関しては,外発的な動機付けが不可欠だと実感しました。その点が,今回の実践における大きな課題の一つでした。

 子供の姿を見て分かったことは,発表動画だけを見つめていたグループは,発表の仕方のみに着目していたということです。

 一方で,発表動画と構成カードを共に見つめていたグループは,しっかりと内容面に着目できていました。

 このことから,発表動画と構成カードは同時に見つめていくことが,内容面での修正において有効だということが明らかになりました。

 「転校した友達に伝える」という設定に関しても様々な意見をいただきました。「見えない相手である」ということは,確かに難しさもあったのかと思います。すぐに反応がもらえないというところもデメリットかもしれません。しかし,「見えない相手だから」こそ,相手のことをいろいろと想像し,その思いに合わせて工夫することもできたのかなと実践を振り返って感じています。

 今年度,初めて「話す・聞く」領域に挑戦し,様々な成果や課題が見えてきました。今年度に得た知見を生かし,更によい授業ができるように研究を進めていきたいと思います。ありがとうございました。

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