個人研究

理科: 小林 孝俊

理科: 小林 孝俊

小林孝俊(こばやしたかとし)です。

 

研究教科は理科です。

 

理科の学習で大切なことは、自然事象に対する考えを科学的な概念に更新していくことです。そのためには自然事象に疑問をもち、予想を立てて観察や実験をし、その結果を基に考察していくといった問題解決の活動が必要です。

 

子供が夢中になって追究する理科授業を目指します。

 

メール t-kobayashi@fusho.ngt.niigata-u.ac.jp

「物の溶け方」

2024.02.19

3学期の研究授業について紹介します。

食塩水に絵の具で赤と青の色を付けたものを提示しました。2つの食塩水を試験管に入れるとどうなるのかを問うと子供は混ざって紫色になると考えました。実際に試してみると、赤→青の順だと混ざって紫色になりますが、青→赤の順で試験管に入れると上の写真のように試験管の中で色が分かれます。子供たちは、どうして色が分かれるのかと疑問をもちました。

「食塩水が分かれるのはどうしてか」と学習課題を設定し、予想を問いました。

主な予想は5つでした。

○溶けている食塩の量が違うから。

○入れる順番や入れ方が影響しているから。

○絵の具が影響しているから。

○水と油のように混ざらない性質があるから。

○2つの食塩水の重さが違うから。

ここで予想を収束させていくために、アイスコーヒーの氷が溶けて、水とコーヒーに分かれている事象を提示しました。

子供は食塩水が2つに分かれることと、アイスコーヒーが水とコーヒーに分かれることを関連付けて考えました。そして、青色の食塩水は赤色よりも多くの食塩が溶けているため重くなり、2つに分かれるのではないかと予想しました。

この後、食塩をたくさん溶かした濃い食塩水と、食塩をあまり溶かしていない薄い食塩水の同体積での重さを測定しました。すると、濃い食塩水の方が重くなり、課題について明らかになりました。

「種子の発芽と成長」「ふりこの運動」

2024.01.05

1学期の研究授業,2学期の初等教育研究会の授業を紹介します。

実証性のある予想をテーマに研究をしています。

実証性のない予想になる原因は,小学校理科では初めて目にする事象を扱うことが多いため,子供が自ら実証性があるかを検討するのが難しいことにあると考えています。教師は子供同士の話合いで実証性のある予想に収束されないため複数ある予想のうち,実証性のあるもののみを取り上げて授業を進めてしまうことがあります。これでは,子供の問題意識が途切れてしまいます。

そこで,課題設定のための事象提示の後で,情報を補うための2つ目の事象提示をしました。学習課題に関する情報を補うことで,子供自らがより実証性のある予想を見いだしていくことができるため問題意識が途切れることなく課題解決に向かうことができると考えました。

ここでは,それぞれの単元の課題設定のための事象提示と,情報を補うための事象提示を中心に紹介します。単元計画や授業の詳細はホームページの資料箱にある指導案をご覧ください。

「種子の発芽と成長」

インゲンマメの種子の中を観察し,子葉のはたらきを調べる場面の授業です。

「インゲンマメは,この種子の中でどうなっていたと思いますか」と問うて観察させました。種子の内部の葉,茎,根に対応する部分に着目させるためでです。子供は,葉や茎,根になる部分を確認することで,子葉に対応する部分がないことに気付き,「豆の部分は何のためにあるのだろうか」と学習課題を設定しました。

豆の部分は何のためにあるのか予想と理由とを問いました。

主な予想は4つでした。予想を 〇 ,根拠を ・ で示します。

○養分

 ・大部分を占めているから。

 ・メダカの腹のふくらみが養分だったから。

 ・成長するにつれて干からびるということは養分が使われたと考えられるから。

 ・人も胎盤から栄養をもらって大きくなるから。

○空気を含んでいる

 ・水につけたとき発芽しそうだったから。

○中を守るためのもの

 ・茎や葉,根になる部分は大切だからそれを守るため。

○温度を保つためのもの

 ・急に寒くなると枯れてしまうから中の温度を保つため。

これらの予想には根拠はあるものの,養分という予想以外は実験で確かめることが難しい実証性がない予想です。

そこで,普通に育てたインゲンマメと子葉を半分に切って育てたインゲンマメとを提示しました。予想を検討するために必要な情報を補うためです。

最終的な予想では養分ではないかという予想に収束しました。半分に切ったほうが小さくなっていたので,インゲンマメの養分が減って成長しにくくなってしまったのだろうと考えたのです。

普通に育てたインゲンマメと子葉を半分に切って育てたインゲンマメとを観察し,班で対話することで,様々な予想の中でどれが正しそうか再度考え,実証性のある予想を見いだすことができたと考えられます。

この後は種子をヨウ素液にひたし,子葉がでんぷんであることを確かめました。

「ふりこの運動」

ふりこの長さはどこまでなのかを考える場面です。単元の最後にこの授業を行いました。前時までにふりこの長さの捉えは統一されていません。ふりこの長さはおもりの中心までであると教えることが多いと思いますが,問題解決的な授業で自らふりこの長さについて考えることを目指して提案しました。

前時までの学習では釣り糸に実験用のおもりを付けていました。釣り糸の代わりに竹ひご(900mm)になっています。釣り糸だと間隔を開けておもりを付けたときに不規則な動きをしてしまうためです。おもりは位置を自由に調節できるようにスーパーボールに穴を開けたものを用いました。スーパーボールに穴を開ける際はピンバイスを用いると割れずに開けることができます。8セット作っても1時間はかかりません。

始めに,右のおもりが1つの振り子を提示して1往復の時間を測定させました。1往復の時間は1.9秒でした。次に,左の振り子を提示し,竹ひごの長さは同じであることを確認しました。ほとんどの子供はおもりの重さが変わっているけれど,竹ひごの長さが同じなので,1往復の時間は変わらないのではないかと考えました。しかし,実際に測定すると1.8秒であり,おもりが1つのときよりも1往復の時間が短くなっています。既習とのずれにより,どうしてだろうと疑問が生まれました。この疑問から「(竹ひごの長さは同じなのに)1往復の時間がちがうのはどうしてだろう」という課題を設定しました。

主な予想は5つでした。

○おもりが増えて,重くなったからではないか。

○おもりがスーパーボールだからではないか。

○ひもを竹ひごにしたからではないか。

○おもりの位置が違うからではないか。

○上のおもりまでの竹ひごの長さを考えると,おもり3つの方が竹ひごが短くなっているからではないか。

全てについて実験をして確かめていくのは難しいです。さらに,教師が1つの予想を選び実験をすると他の予想の子供の問題意識が途切れてしまいます。そこで,2つ目の事象を提示しました。

糸の長さは全て同じで,おもり1つ,2つ縦につなげる,3つ縦につなげる,という3種類の振り子を同時に振り,1往復の時間がどう変わるのかを見た目で判断させました。そうすると,1往復の時間が短いのは,おもりが1つの振り子,次におもりが2つの振り子,一番長いのはおもりが3つの振り子でした。

下図左の最初のふりこは全体の長さが同じで上のおもりまでの長さが異なり,右の2つ目のふりこは全体の長さは異なるが,上のおもりまでの長さが同じです。そのため,最初のふりこはおもりの重さが重くなると1往復の時間が短くなり,2つ目のふりこはおもりの重さが重くなると1往復の時間が長くなります。

最終的な予想では,ほとんどの子供はおもりの位置に関する予想をしました。

複数の事象を関連させて考え,予想を検討していくことで実証性のある予想に収束させていくことができました。

この後は,スーパーボールを動かし,真ん中の位置,上の位置で1往復の時間がどうなるのかを測定しました。

結果は下の通りです。

おもりが3つの振り子

1.8秒

おもりが1つの振り子 

下   1.9秒

真ん中 1.8秒         

上   1.7秒

このことから,振り子の長さはおもりの中心までであると考えるのが妥当であると考察することができました。

6年 ものの燃え方と空気

2023.04.11

 6年生理科の授業開きです。

 ろうそくに火をつけると,ろうがなくなるまで燃え続けます。

 では,集気びんの中に入れてふたをするとどうなるのでしょうか。ほとんどの子供たちは,火が消えると予想をしました。どうしてそう考えるのか,根拠が大切です。根拠を基に話し合いました。

 実際に実験をしてみると,しばらくすると火が消えてしまいます。もう一度火をつけて集気びんに入れてみるよう促しました。すると,2回目は1回目よりも早く火が消えてしまいます。

 この結果から,どうして消えてしまったのか,燃え続けるようにするにはどうすればよいかという視点を示して振り返りを行いました。

温まり方の秘密を探れ!-ものの温まり方-

2023.02.10

温度が変わると体積は?-ものの体積と温度-

2022.10.21

閉じ込めて圧すとどうなる?-空気と水-

2022.08.31

春になると生き物は?

2022.08.31
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