個人研究

算数科: 二瓶 亮

算数科: 二瓶 亮

二瓶 亮(にへい りょう)と申します。
附属新潟小学校2年目、研究教科は算数科です。
令和6年度は、低学年複式学級の学級担任と2年生及び中学年複式学級の算数科を担当します。複式学級担任は2年目となりました。

 

予測困難なこれからの社会では、自ら問い続ける力が重要です。目の前の問題を解決する力だけでなく、自ら問題を見付ける力が必要となります。

 

算数は、系統的に内容が構成されています。そのため、子供が創造的かつ発展的に学び進めることが期待されています。問題を解決して終わりではなく、問題を解決した後、自分なりに適用範囲を広げたり、得られた結果を比較して共通点を見いだしたりするような学び方が重要となります。このような学び方は、子供の自ら問い続ける力を育むことにもつながります。

 

子供たちとともに、「自ら問い続ける算数」をつくっていきたいと思います。

 

〈研究キーワード〉

「自ら問い続ける」「算数の学び方」「批判的考察」「複式学級」

 

〈著書〉

・分担執筆「算数授業 指導技術大全 すぐに使えるアイデア100」

・分担執筆「小学2年の絶対成功する授業技術(ロケットスタートシリーズ)」

 

〈そのほか〉

・全国算数授業研究会 常任幹事

 

多くの皆様からご批正をいただければ幸いです。ご意見、ご感想もお気軽にいただければと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

メール:nihei@fusho.ngt.niigata-u.ac.jp

多面的・批判的に考察して納得解をつくり出す子供−1年「かたちあそび」−

2024.08.22

今年度の研究では、図形を多面的・批判的に考察し、見いだしたことから納得解をつくり出す子供を目指しています。

そのような目指す子供の姿を具現化するために、6月の研究授業では、二つの手立てを講じました。

①考察させたい図形を二種類提示する

考察させたい図形を一種類だけ提示すると形の特徴を捉えやすいですが、その一方で一種類だけで形の特徴を判断することになり、一面的な見方に留まってしまいます。

二種類提示することで、両方に当てはまる特徴を考えるような比較・関連付けの思考が促され、「両方に当てはまるか。」と批判的な考察が促されます。

②操作活動を通して形を考察する場を設定する

新たな対象を形として捉える際、操作活動をせず形の判断が行われると、子供は一番分かりやすい大まかな形に着目して形を判断してしまいます。

操作活動を通して形を考察する場を設けることで、面やかどなどの形の特徴や、転がる、積み上げやすいなどの機能的な性質に目を向け、図形を多面的に見ることが促されます。また、「別の部分に着目すると△△の仲間ともいえる。」と操作することで得た情報を根拠に批判的な考察が促されます。

子供は、このような活動の過程で見いだしたことから、自分にとっての納得解をつくり出すのです。

1年「かたちあそび」の実践における、子供の姿を紹介します。

今回紹介するのは、6時間目の子供の学びです。(T:教師 Ca〜Cd:子供)

T:おもしろい箱を見付けたんだけどさ。

Ca:コーンみたい!  Cb:とんがり帽子だ!!  Cc:ピラミッド!!

T:みんなが仲間分けした中の、何チームに入るかな?

Ca:こっちから見ると、ここがまるだよ。でも、さんかくコーンチームかな。

T:これまで、転がしたり、積み上げたり、紙に写し取ったり、触ったり、見て似ているところ探したりとかいろいろやってきたよね。そういうことを試してみて、この形がどの仲間なのかなって確かめられそうな方法はありますか?

Ca:転がしてみよう。転がすと回ってもとに戻るよ。

Cd:ここ(底面)は、まる。こっち(側面)は、さんかくだからだよ。

Ca:積み上げるとさ、つつにも見えるけど、こっち(底面)とこっち(頂点)の大きさが違うんじゃない?

Ca:こっち(円錐)はここ(底面)がまるで、こっち(つつチームのラップの芯)もこっち(底面)がまる。それで、どっちも、ここからもずっとグルグルまるいから、つつチームと似ていると思った。

Cc:こっち(つつチームのサランラップの芯)の方が細長いし、グルグルしている。

Ca:こっち(細長い円錐)も細長いよ。でも、このまる(背が低い円錐)はどうなんだろう。

Cc:これ(まるチーム)じゃない?

Ca:でもさ、まるといったら全面まるじゃん。こういうの(ボール)ってさ、全部がまるまっているけど、こっち(背が低い円錐)は全部がまるまってないじゃん。

Cb:これさ、さんかくチームじゃないんじゃない?だってさ、かどがさ、尖っているところが1個しかないじゃん。さんかくってさ(三角柱を見せ、頂点ではなく、辺のようになっていることを示しながら)、これ、これ、これだけど、(円錐は)これ(頂点)が1個しかない。

このように、これまで経験した操作活動を想起し、形を判断するために有効そうな方法を試し、円錐の特徴を捉えようとしていました。実際に試す中で、円錐の底面は平らだから積むことができ、側面は斜面になっているため、積み上げることができないということを実感として捉えたり、円錐と四角錐を比較しながら、底面から頂点に向かって段々細くなっているという共通点を捉えたりしていました。

このように、子供は、新しく提示した円錐と、これまで扱ってきた立体とを比較したり、新しく提示した二種類の円錐どうしを比較したりして、形の特徴や機能的な性質を基に身の回りの立体について考察していました。

その過程で、一つの形について、見方を変えたり調べ方を変えたり、他の形と比較したりするなど、一面的な見方に固執することなく、常に多面的に考察しようとしていた。また、「積み上げるだとさ、つつにも見えるけど、こっち(底面)とこっち(頂点)の大きさが違うんじゃない?」などと、本当にそのチームでよいのかと考えたり、「でもさ、まるといったら全面まるじゃん。」などと、その考えだと当てはまらない特徴があると考えたりと、円錐の特徴を批判的に考察し、見いだしたことから納得解をつくり出そうとしていました。

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