個人研究
音楽科:
米山 陽子

米山 陽子(よねやま ようこ)と申します。
研究教科は音楽科です。
附属新潟小学校5年目になりました。
今年度は,大学連携(教育実習など)や1~6年生の音楽授業を担当しています。
学校で音楽科を学ぶ意味は何でしょうか。仲間と関わり,個々の表現や発言から学び合う中で,音楽的な力と人間性を身に付けること,そして音楽を「窓」として世の中のあらゆるものに対する感性を高めること,この二つが学校における音楽教育の目的だと私は考えます。
コロナ禍を経て,音楽科の学び方は大きく変わろうとしています。
音楽は生涯を通じていつもそばにあるもの。
音楽を通じて子供の人生が豊かになるような実践を目指します。
今年度も附属新潟小学校の素敵な子供たちと一緒に学んでいきます。
実践について,多くの皆様から御批正をいただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いします。
研究キーワード:「日本や世界の音楽」「対話」「ICT活用」
メールはこちらからどうぞ:yoneyama@fusho.ngt.niigata-u.ac.jp
知っている曲に合わせて,和太鼓をたたこう
2019.09.27①音色や演奏の仕方を見つける学習です
2年生の子どもたちと一緒に,「お祭りの音楽づくり」を行いました。
まず題材の始めに和太鼓を提示し,楽器に触れる場を設定しました。触れる機会があまりない楽器を試させ,音色や演奏の仕方に着目させるためです。子どもは,生活経験を想起しながら「皮の真ん中を叩くと,ドンと音が出るよ」「縁もカッカと音がするよ」「続けてドコドコドコと叩くこともできるよ」「連打って言うんだよ」などと発言していました。
友達とリズムを合わせて叩くって面白い!

次に,生活の中でなじみのある音楽に合わせて,和太鼓を試奏する場を設定しました。音楽に合わせて試奏することでゲーム性を高め,和楽器を身近に感じさせるためです。子どもは2人組で馴染みの曲(運動会で踊ったパプリカ・夢を叶えてドラえもん・となりのトトロ)に合わせて,意気揚々と太鼓を叩いていました。太鼓を身近に感じ始めた子どもに「新潟には太鼓の達人がいるんだよ,萬代太鼓の方の演奏を聴かせてもらおう」と提案しました。
さて,どんな出会いが待っているのでしょうか。

鑑賞と表現の先に見えるもの
2019.08.10~たたいて つないで たるきぬた~
永島流新潟樽砧から学ぶ
伝統音楽の授業、どうしていますか?
伝統音楽領域の学習は,音楽を形づくっている要素が掴みづらい,子どもに魅力がうまく伝わらない・・・悩みがたくさん出てきます。
本題材では,子どもにとってなじみのある郷土の音楽を鑑賞し,樽太鼓による音楽づくりを学習します。郷土の音楽とは,郷土のわらべ歌,獅子舞の音楽,お囃子,盆踊り唄,民謡などを指します。本題材では,新潟総踊りの伴奏楽器としても広く知られている樽砧を鑑賞し,リズムを工夫して音楽づくりをする姿を目指します。
本題材の価値は,大きく三つあります。
一つ目は,永島流新潟樽砧伝承会の生演奏を鑑賞することの価値です。題材の始めに生演奏を聴かせることで,演奏者を通した鑑賞活動を設定します。子どもは,演奏者の息づかい,表情,音の響きを様々な感覚を使って鑑賞することにより,郷土の音楽への憧れをもちます。さらに,体験させることで,演奏者のような音色で太鼓を叩くことが難しいことに気付かせ,「もっと太鼓でいい音を出したい」「リズムを覚えて叩きたい」という欲求を高めさせることができます。
二つ目は,演奏形態が簡素で,工夫次第では太鼓のリズムを生かした音楽づくりが可能なことです。教科書教材にも,鑑賞の後に音楽づくりが設定されていることが多いのですが,鑑賞で学んだことが音楽づくりにうまくつながらないと感じたことはありませんか?樽砧のリズムは,実際には複雑で,すぐに演奏できるようなものではありません。そこで太鼓のリズムに焦点化し,繰り返して演奏されるリズムを問います。樽砧のリズムに慣れたところで,創作リズムと組合せ,八小節の「私の樽砧」をつくることを提案します。聴き取ったリズムを基に音楽づくりをすることで,鑑賞と表現とを関連付けることができるのです。
三つ目は,この時期に学習することの価値です。ちょうど本日は,新潟まつりの真っ最中!!街を歩くと,郷土の音楽があふれています。郷土の音楽が私たちの生活の中で生きていることを知るもう一つの鑑賞の機会,祭りは夏季に多くあります。本題材は,七月に授業をしたので,子どもたちが祭りでまた郷土の音楽と出会い,新たな視点で音楽を感じてくれたらと願っています。音楽科での鑑賞と表現との先に,生活の中の音楽として存在する郷土の音楽を直に体験し,見直すきっかけになると考えています。
詳しくは,研究計画ならびに学習指導案をご覧ください。
ご意見・ご感想をお待ちしています。